2013年03月29日
Fluoride
フラれたかなんかの腹いせに相手の靴にフッ素を仕込んで大怪我をさせ、
被害者が足の指を切断するという事件が報じられました。
フッ素といえば歯医者。
なんかデンジェラスじゃね?と不安に思われる方のために
今回はフッ素について、知識を高めておきましょう。
オチから言うと今回使われたのはフッ化水素酸。
虫歯予防に使われるのはフッ化ナトリウム。
どちらもフッ素と略されるので紛らわしいです。
実際その紛らわしさで死亡事故も起きてしまってます。
ある歯科で歯に塗るフッ素を歯科材料店に注文したところ、歯科技工で使用される
フッ化水素酸が納入されてしまい、不運なことにそれに気づかずに塗布された
小児が死亡するという痛ましい事故でした。
技工所を併設している歯科医院でも最近は代わりの薬品もありこうした事故は
起こりにくくなっていると思います。が、とりあえず歯科関係者としては
心に留めておかねばならない一件です。
さてフッ素ですが、何故虫歯予防になるのでしょう。
歯の表面はCMでお馴染み、ハイドロキシアパタイトという結晶構造で
そのほとんどを覆われています。

そこにフッ素を触れさせると、一部構造の入れ替わったフルオロアパタイトという
酸に対する抵抗性が高い結晶構造に変化します。
これが虫歯になりにくくなる主な理由ですが、フッ素にはさらに、唾に含まれる
リン酸カルシウムが歯面に取り込まれ再石灰化することを促進する働きもあります。
さらには虫歯原因菌の酸産生を抑えてもくれます。
そんないたりつくせりのフッ素ですが、過剰に摂取すると歯の変色や骨に影響する
フッ素症を起こしてしまいます。
流通している商品では濃度が制限されているので、毎度飲み込む等の間違った
使い方さえしなければ心配することはないと思います。
が、ものすごく間違えて一度に大量に摂取すると中毒を起こします。
嘔吐、腹痛、下痢などの症状がでます。
緊急対処法としてはとにかく吐き出したあと、体内に残った分は牛乳を飲むことで
カルシウムと結合させてしまうことが知られています。でも救急車ですね。
とりあえず通常は、そのまま飲み込むような使い方はしないので問題ないと
考えられます。
歯磨き粉なども歯によく浸透させたあと軽くすすぐ程度で十分です。
さてここからフッ素の話になるとよく聞かれるシリーズ。

当院で使用している薬剤では半年から一年となってます。
一般的には3~4ヶ月に一回塗布すると効果的となっているので、それも目安に
なるかと思います。
その間はフッ素入り歯磨き粉やプスレー、洗口液などが商品化されているので
それらで効果を持続させておくのがいいと思います。
歯科医院での塗布は歯面を一度とことんまできれいにしてから塗るので
ケアとしての要素も期待できます。

小児期にフッ素塗布が推奨される理由は歯自体の耐酸性の弱さ等々環境の悪さですが、
成人以降に見られる歯の弱点として、歯周病等による歯肉の退縮で現れる本来骨に埋まって
いる根の部分があります。ここも、噛むのに使われるエナメル質ほどではありませんが
主成分はハイドロキシアパタイト。フッ素により抵抗力を高めることでよごれのたまりやすい
歯の根本を守りましょう。

市販されている歯磨き粉などの濃度では問題ありません。
歯科医院で塗布する薬剤の濃度は高めですが、それもインプラント体に直接塗りたくることは
ないので、残っている自身の歯を守るためにもフッ素の活用をおすすめします。
Posted by しまぶく歯科 at 13:46│Comments(0)
│家庭の歯学
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